6月29日

 これからさくさくっと「実録! 石のある生活」をお送りします。

 なになに? 題名が違うって?

 気にするな。はげるぞ。

−−−−−

 金曜日。友人とアルコールというこの上ない魅惑的なコンボに誘われ、家で飲もうぜ、等と言われていた金曜日。ばぶりぃな言い方をすると花金ですよ。ハナキン。でも、そういうあまたの誘惑を振り切って、僕は帰った。終電に近いノリで帰った。

 すると、なぜか終電にも近いのに、電車の中で友人にあった。高校時代の友人。僕が本を読んでいたら、向こうが気づいたみたいで、話しかけてきた。

相手:おお、久しぶり。
ぼく:ああ、久しぶり。
相手:いまは何してんの?
ぼく:大学院生してんねん。んで、どう? 社会人は大変?
相手:うーん、どうなんやろなー。
ぼく:こっちはまだ学生やからなー。
相手:うーん。・・・今日は合コンやってん。

なぜか、相手は聞いてないのに、ぼそっと漏らしたわけですよ。合コンだった、と。以前の僕なら

「俺も今度誘えよ」
「一人くらい回せよ」

とか絡むところだけど、もういい加減おとなだからそういうことしない。高校の頃、その友達とはチョット関係がマズくなって以来、未だに気まずかったりするんだけど、そういうところは関係ない。ホント、そういうわだかまりないから。前に同窓会があったとき、

「今度、ケータイのメアド教えてください」

と頼んでおいたけど、未だにお互いの連絡先を知らないとか、そういうことも全然気にしてないし。

 僕はただただ、

「合コンかー。いいなー。酒池肉林ってやつだなー」

等と思って、会話は上の空になっていたのでした。

 そんなことがありまして、家に帰ったのは12時前。午前0時前。それから、お風呂に入ったりして、1時過ぎに友人とメッセをしてました。MSNメッセンジャーってやつです。しかし、その瞬間、異変は起きました。

友人とのメッセログ
===================

[01:51:54] ぼく:
ちょいまち。
[01:51:59] ぼく:
こしいたい。
[01:52:11] 友人:
だうした
[01:52:18] 友人:
どうした
[01:56:01] 友人:
大丈夫か
[02:00:00] 友人:
死ぬなクリリン

===================

 この瞬間、僕は突っ伏していました。床に突っ伏していました。なんか、最初は骨がずれたというか、椎間板ヘルニアという名のぎっくり腰的なことかと思っていたんですが、どうも違う。死ぬほど痛い。子供が生まれるかと思うほど痛い。ホント、今すぐ僕の目の前に看護婦が現れて、

「ほら、元気な男の子ですよ!」

とか言って、赤子を取り出しても、僕は違和感を感じずに受け入れた自信がある。それくらい痛い。いや、出産経験ないけどさ。

 これまで、僕も20年以上生きてきたわけですから、そこそこいろんな痛さを経験してきてはいるんです。骨折もしたことあるし、自転車で前輪に傘が挟まって、前から倒れ込んだこともある。もちろん、お風呂の水道で腰を打ったこともあれば、足の小指をタンスの角にぶつけたことだってある。

 しかし、今回のはそんな生やさしいもんじゃない。何かが変わる。価値観かわる。優しくなろうと決意する。それくらいの痛さ。しかし、いくらうんうんうなっていても、鋭角的な痛さじゃないので、こっちは全然泣かない。涙一つでない。でも、汗がわんさか出る。毛穴という毛穴から汗がわんさかと出る。でも、腹痛が30倍にきつくなったような痛みなので、泣いたりはしない。

 そういう様子を見てか、周りはそれほどめちゃめちゃ焦ったりしていない。一応、親はあたふたしていたけど、すぐに救急車でも呼んでくれるのかと思ったら、かかりつけの医者に電話かけてる。まぁ、それは手順としては正しいんだろうけど、かれこれ10分以上も痛みに苦しんでいるこっちとしてはチョットいただけない。超いただけない。

 そんなことを思いつつ、痛さで気絶する感覚を初めて理解する境地に至った頃、救急車は遠くの方からサイレンを鳴らしながらやってきたのだった。



戻る
次の日へ >







copyright(c) 2005 ウチボリ